諸物価高騰を受けて、親会社や顧客企業と製品値上げ交渉を行う中小・小規模企業が増加していますが、適正価格の元となる原価の算出は、特に製造業では複雑です。そこで中小・小規模製造業向けに、価格交渉にも使える簡易的な製造原価の算出法をお伝えします。
これまでは、個別原価の計算に必要なアワーレート(人)、アワーレート(設備)などの直接製造費用の計算方法をお伝えしました。
今回は、製造に直接はかかわらないものの、ものづくりには必要となる「間接製造費用」と「販売管理費(販管費)」の計算方法について解説いたします。
なお、前回と同様計算方法は「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書1(株式会社アイリンク照井清一著)」に沿ったものです。同著では、個別原価を容易に把握する方法を「利益まっくす」と名付けていて、今回のブログでも同方法を「利益まっくす」と呼んでいます。
5.間接製造費用と販売管理費(販管費)
① 間接製造費用について
「利益まっくす」では、製造原価を直接製造費用と間接製造費用に分けて計算します。間接製造費用は、決算書の製造原価報告書の「労務費」と「その他経費」を直接製造費用と間接製造費用に仕分けします(外注費で社内の間接作業に従事している請負や社内外注の費用がある場合は間接製造費用になります)。
労務費は、直接作業者の労務費は直接製造費用、それ以外は間接製造費用です。
減価償却費も、直接製造費用以外は間接製造費用とします。その他費用も、直接製造費用以外を間接製造費用とします。
以上から直接製造費用以外と間接製造費用の比率を計算し「間接費レート」として原価計算に利用します。「間接費レート」とするのは、間接費用がどの製品にどれだけかかったのか正確にわからないためです。
間接費レートは以下の式で計算します。
間接費レート = 間接製造費用 ÷ 直接製造費用(材料費・外注費を除く)
原価計算の専門書では、間接製造費用をそれぞれの項目に応じて細かく配分する方法が載っています。しかし、それぞれの間接費の分配基準を設定し、計算するのはとても手間がかかり、上記の方法はそこまで手間がかけられない中小・小規模企業に向いていると言えます。
② 販売管理費(販管費)について
販管費も間接製造費用と同様にどの製品にどれだけかかったのか正確に把握できません。そのため、決算書から前年の製造原価と販管費に比率(販管費レート)を計算し、この比率で一律に配分します。
販管費レート = 販管費 ÷ 製造原価

次回では、これまでの計算方法を使って「利益まっくす」による原価計算を例示いたします。